ノーベル賞報道に思うこと

さてさて、溝呂木・ヘック反応と根岸カップリング反応、鈴木・宮浦カップリング反応の代表者にノーベル賞が授与されることが決まったわけです。
先週木曜日(7日)に会社から帰ってきて、一連の報道の流れを見ていたわけですが、ちょっとひどいなあという実感を持ちました。
7時、NHKのニュースでは、解説がセーフといえばセーフだけど、内容が聞き様によっては誤りに聞こえる部分が…民放は内容に関しては解説なし。
9時のNHKニュースでは、薬学部を退官された柴崎先生が登場。ようやく話が成立する。さすがは柴崎先生、パラジウム触媒について最低限の説明を黒板を使って行うが、さわり程度でアウト。単純に、一般に説明しようとしている*1けれど、高校生がわかる程度のイメージで伝えないと、一般向けには無理ではないかな、と思いました。
一番ひどかったのは、10時台のニュースステーション鈴木先生と古館さんが中継で話をしている。古館さんがあんまりにも間違った説明をするので鈴木先生がイライラして、その言葉のやり取りがはっきり全国に放映されてしまっていた。古館さんは悪くないけど、もう少しましなブレーンはいないのかと思った。
テレビでまともな説明は見ることができなかった。
翌日、通勤電車内で中学生向け(と中学の先生向け)の説明を考えていて、これくらいかなあとメモ書きしたものを、会社で何人か捕まえて5分で説明してみた。(上記3反応の骨格となる内容、何が違うかまで絞った内容をまとめた。イラストが必要。)
上記3つの反応の違いを明記した説明は、この地点では新聞を含めてメディアでは全くされていなかった。
10日の日曜日に、日経の朝刊で説明記事を見つけた。一般向けではこれが一番まともな説明だと思う。新聞という制約があるので、ビジュアライズされてはないけれど、いい説明だった。僕の説明だと物質の反応性とかメカニズムの説明になるところを、日経は物質の種類という一般化した(単純でわかりやすい*2)説明だった。

全体見渡して、人がいないんだな、と思った。
「○○を発見しました」的な内容なら、ボロは出なかったんだけどね。
どうしてもという方には、今度僕に会う機会があれば、説明させてもらいます。

*1:理科的に正しいし、簡単で凄く評価しています

*2:けれど、その説明の方法の欠点もある。