ドラッカーさんの話から脱線…元に戻る

夏前から、ドラッカーが話題になっている。id:koguusのページでも紹介されていたが、

が話題になっていたので、少し前に本屋で立ち読みしてみた。金融でこんな感じの入門書が出ていたと思うが、それと比べると内容がないかと思う。
この本の底本となっているのが、
マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

であり、1か月ほど前に買って読んだ。これは、エッセンシャル版と書いてあるように、ドラッカー著の「マネジメント」
ドラッカー名著集13 マネジメント[上]―課題、責任、実践

ドラッカー名著集13 マネジメント[上]―課題、責任、実践

ドラッカー名著集14 マネジメント[中]―課題、責任、実践

ドラッカー名著集14 マネジメント[中]―課題、責任、実践

ドラッカー名著集15 マネジメント[下]―課題、責任、実践

ドラッカー名著集15 マネジメント[下]―課題、責任、実践

の抜粋版である。日経からもマネジメントは4分冊で出ているが、これは翻訳者の上田さんの訳ではない。また、ここに挙げた上田さんの訳のものでも上中下で合計1100ページ位もあって分厚い。
調べてみると上田さんというのは日本でのドラッカー研究の第一人者で、エッセンシャル版ができたのも、上田さんがドラッカーに「マネジメントの内容を圧縮できますよ」と手紙を出したのがきっかけであるらしい。
そういった意味で、読んでみたのだが、やはりわかりずらいかな、と思う。言葉の問題なのか、どうしても日本語だとシンプルな説明にならないのではないかと思う。
The Effective Executive: The Definitive Guide to Getting the Right Things Done (Harperbusiness Essentials)

The Effective Executive: The Definitive Guide to Getting the Right Things Done (Harperbusiness Essentials)

Managing in the Next Society

Managing in the Next Society

を試しに読んでみたが、英語の方が日本語に比べて、どう考えてもわかりやすい。上田さんが翻訳に苦心したのもわかる気がするが、読んでゆくと英語の表現の方が日本語に比べ平易な言葉で書かれていて、説明の論理構造が明確に流れていく。辞書を引きながら、一語一語読んではいないが、ざっと最後まで読んでみると、実感としてわかると思う。
理系のみなさんは多分実験ノートは英語で書いていると思うので、そのすっきりした感覚に近いと思う。
余談だが、シンガポールの中学校の教科書を仕事で読ませていただいたのだけれど、同じような感覚を持った。特に身の回りの事象の着眼点の持ち方、そして解析の仕方に関しては、日本語の論理構造は不向きであることがわかった。
それを記述する日本語・そしてそれを伝達する表現の形を作らねばならないと自分は考えている。

日本語で理科的な論理構造を有している書物として思い浮かぶのは、勉強不足で申し訳ないが、数学では高木貞治や文学では夏目漱石芥川龍之介、漫画なら藤子不二夫だろうか。これらは論理構造が明確だから、あとはその構造を研究していかに削ぎ落として単純化するかと、現代の事象・日本語に合わせるかが問題になるだろう。何かこういった理科的な日本語の構築のために、いい著者・いい本があればコメント欄に紹介してください。
ああ脱線した…。
初めの話に戻ると、本当はこうした冒頭に挙げたような小説よりも、ノンフィクションで日本の企業人にインタビューして、「ドラッカーさんがこう書いていた内容を私はこう解釈し、経営に生かした」だとか、そういった実例を聞いてまとめた本が必要とされているのではなかろうか。その方が圧倒的に説得力を持つだろうし。僕だったらぜひとも買って読んでみたい。