落雁とコーヒー

うちから宅配便が届くと、入っていることが多いのが落雁である。
とはいえ、東京時代も含めて、マンションには抹茶碗もないし、茶筅もない、懐紙さえもない。懐紙の代わりにティッシュで代用してみたのだが、どうも目が粗すぎて駄目だし、落雁に合わない。
母の実家に特に春のシーズンに遊びにゆくと、「お茶をしよう」といってお茶を点てる。とはいっても茶室に正座してとかそんな堅苦しいものではなくて、いつもご飯を食べる居間のテレビの前の掘りごたつに入って、そこでお茶を点てるのである。
そこで出てくるのが、薯蕷饅頭(じょうようまんぢゅう)や羊羹、落雁である。薯蕷饅頭は日持ちがしないので、ほとんどの場合2〜3週なら持つ羊羹か、年単位の賞味期限?の落雁かになる。
東京時代にはそこまではまってはいなかったのだが、何故か宅配便に入っているのが落雁である。確かに日持ちがするというのは大きい。
ストックがきくというのは一人暮らしにとってはかなり大きなファクターなのである。

8月になってから、しんどいなーと思って、休みの日に何気なく落雁を口の中に入れてみた。
やはり昔から変わらない和三盆の味である。
しかしお茶がない。
困った。

1週間ほど前に、コーヒーではどうだ?と思い立って、実家から持ってきたコーヒーカップとソーサーを取り出してみた。
そういえばこのコーヒーカップの会社も経営破綻しまった…いやいやそんなことは関係ないとかいろいろ考えながら、ドリップオンのコーヒーを入れて、落雁を取り出してソーサーのすみに載せてみる。
この組み合わせも見てくれは悪くないな、と思って、ブラックコーヒーと落雁を試してみると、これはいける!
それ以来、休みの日にはコーヒーと落雁は楽しみである。今日もお昼にはコーヒーと落雁

分量としては、今のところコーヒー1杯につき、2個の落雁がしっくりきている。一度、落雁をコーヒーに溶かしてみることも試したが、やはり双方の風味を生かすならば、お茶のように落雁を食べながら飲む方がしっくりくる。
こうなると、よほどおいしいコーヒーでない限り、外の店でコーヒーは飲めなくなる。
京都あたりならコーヒーに落雁を出すコーヒー店がありそうなイメージだが…。