TAの成果
2週間ばかり有機実験のTA(ティーチングアシスタント)をやっている。実はまだ一週間終わったばかりで本当はあと一週間あるのだけれど、今週は小休止といったところで、自分自身のことをやる一週間にするつもりだ。
本当に色々なタイプの3年生がいて面白い。質問に答えるとき、僕自身が一番気を付けているのは、自分で考えるように上手く誘導することだ。答えを言ってしまってそれで終わりならばこちらとしても楽でいいのだけれど、一番大切なのは自分はこう考えているということをこちらにきちんと提示してくれることだ。そういう意識で質問してくる人には、こちらとしてもきちんと僕なりの見解を、少し手間はかかっても文献を調べたりして示そうとしている。想定外の質問で、どうしてもわからないことは正直にわからないと言う(あくまでこうなっているんではないかと予想できることはあくまで予想で、と前置きして予想を言う)。その段階に達してない質問に関しては、正直バッサリ切り捨てることも出来るのだけど、僕はできるだけ自分なりの見解とかどう思っているかとかを引き出すように言葉を交わす、そして一緒に考える姿勢を示してみる。一緒に考える姿勢を見せてやることで、これまで自分の考えを言うのに自信がない人だったとしても、僕が同じ視線を共有してくれるのではないかと思って、自分の考えを話してくれる事がある。その際は、その内容が間違っていたとしてもとにかく褒めて次々と考えを聞き出す、それから少し間違いを修正、もっと調べてみたらいいと誘導する。思った以上になかなか演技力が要求される仕事で、終わった後は、どうでもいい無駄話はしてないはずなのに結構疲れてしまう。このTA業務で一番生きているのは、オーケストラでのバイオリンを一対一で後輩に教える時の要領。あの経験がなかったらこういったアプローチでTAに臨むこともなかったのじゃないかと思う。