のらフェレット

仕事で遅くなり、時計の針が午前に変わろうとするころのことである。駅から出て住宅街を歩いていると、足元を小さな黒い動物と白い動物が横切った。
よく見ると白く細長い動物である。
テンかオコジョか、と頭の中では条件反射が始まったが、あんな臆病な動物が道の端でこちらを振り返ったりはしないはずだ。
フェレットである。どうやらねずみを追っていたらしい。
軽くこちらを振り返って、脇の民家の間に消えていった。ほんの30秒ほどのことである。
フェレットはイタチの仲間だから、ねずみを追っていても確かに不思議はない*1。しかも、誰かに飼われていたのが逃げ出しているのだから、のらフェレットとでも言うのだろうか。
しかし、いざ「のらフェレット」と活字にしてみると、何となくおかしい。
これまで見たことがある「のらペット」は、のらイヌ、のらネコ、のら白蛇(ペットじゃないかも)、のらカメ、のらハムスター、のらウサギ、のら金魚、のら緋鯉、のら鶏、のら鳩、のらインコ、のらタヌキなどがおり、それはそれで面白い訳だが、今回新たに「のらフェレット」が加わった。やはりこの中でもとりわけ異彩を放っている気がする。

*1:深夜に、路上で猫がねずみを狩る姿は何度も目にしている。