のれそれなにそれ

のれそれに 春めく土佐が 見えてくる
というのは新聞に載っていた句だが,一週間ほど前にのれそれを食べた。
土佐料理屋さんでちょっとお酒を飲む機会があって,春だからどろめを注文した。
しばらくして女将さんが戻ってきて,
「すみません。あいにく今日どろめはきらしてしまって。のれそれならありますよ。」
と言うので,
「それなら,のれそれに酢醤油でお願いします。」
と返事をした。
「どろめ」というのは高知の言い方で,関東の人にわかるように言えば生しらす(カタクチイワシの幼生)のことである。しらすぼしの生,というとぐっと身近になるかもしれない。駿河湾のものが関東には入ってきている。
「のれそれ」というのは,これも高知の言い方であるが,アナゴの幼生である。生物学的にはレプトケファルスと正式には言う。これは西でしか食べれない。
http://www.tosa-sakanaya.com/binbi/noreso.html
透明な細長いお魚であるが,ぷりぷりとしていておいしい。
食べてしまってから,ウナギの幼生と同様,これ養殖技術があるのか調べてみたら,案の上繁殖の場所も特定されておらず,生態もわかっていない点が多いらしく,のれそれを取ってアナゴ人工養殖するのも近大が2009年に初めて成功したらしい。
ウナギの繁殖場所が昨年明らかになったが、同様にアナゴも繁殖場所が明らかになったのは昨年のことらしく、まだまだ人工養殖でたっぷり食べるというようにはいかないようだ。また、日本近海での幼生の捕獲量がウナギと同様に相当減ってきているらしい。
農学部水産学科の人に怒られそうだが,30匹は食べた。

いろいろと調べていたら某アナゴさんと同い年であることに気付いて,非常にショックを受けた春の日であった。