名古屋大学レクチャー

先週土曜に名古屋大学高等研究院の一般向けレクチャーに行ってきました。名古屋まで私鉄で2時間、片道3000円位で行けます。
豊田(とよだ)講堂で行われました。建物が有名ですね。
内容は「化学でひもとく生命の不思議〜天然分子から薬まで〜」でした。演者はフグ毒のテトロドトキシンの全合成、鈴木・宮浦クロスカップリング鍵反応に用いたことで最近注目のパリトキシンの全合成で有名な岸義人先生と、まあ色々なテーマに取り組んでいらっしゃる、イチョウ葉の成分ギンコライドC、赤潮の藻類の毒であるブレベトキシンBの構造決定の研究で有名な中西香爾先生。
平田研が名大にあった関係で、その研究室の出身者が下村脩さん、岸義人さん、中西香爾さんとすごい人が出ています。分野は違えど縁があるとすれば野依良治さんも名大に呼んできたわけですから。
岸先生の合成に関しては大学3年の時のレポートでテトロドトキシンが当たってしまって、ステップ・試薬量をまとめたので、特に思い出深いものがあります。
さてさて、肝心のお話の方なのですが、専門の人には面白い話でした。
このレクチャーは一般向けなので、会場内には小学生から大学生、小学校の先生から専門の学者までいた訳です。誰に向かって話せばよいか、誰でも迷います。
ある意味仕方のない部分なのですが、当然一般の人にはわからない内容が延々続くという結果になっていました。
まず、前に映すプレゼン資料が全て英語だったので、そこで中学生まではアウトでしょう。高校生でも怪しい、一般でも怪しい人がほとんどです。
さらに専門性という壁があります。大学の教養程度の化学をしている人ならわかる位まで噛み砕いて(省略して)日本語で説明されていたのですが、「おいおい、それはわからないぞ」という箇所のフォローが途中から無くなってしまっていました。
それで、最後に質疑応答を司会者が要求するわけです。司会者がわかってないのでフォローが充分にできない。
「そりゃ、ちょっと無理だろ…。」と思ってしまいました。
仕方ない部分が大きすぎて、誰も責められないのですけれどね。
質疑で岸先生が言っていた内容が心に残りました。
「(100%のことをやるのは当然で、)毎日5%余分にやる人にチャンスはもたらされる確率がある。その確率はその人の運による。」(つまりは、その前提条件までの努力をしてくれ、ということ。)
そりゃそうだな、と思いました。というか、「確率が高まる」という考え方・言い方は、自分自身が高校の時から言っている言い方でしたから、非常に共感でき納得できるものがありました。
T教授とも会場で久々に会って(卒業以来?)話をしましたよ。