事業仕分けに対する共同声明・討論会

夕方から僕が今いる隣のビルで開かれた事業仕分けに対する共同声明・討論会に出てきました。
利根川進江崎玲於奈小林誠野依良治森重文(敬氏略)というそうそうたるメンツ。
詳細は以下のリンクを参照してください。
1 http://www.s.u-tokyo.ac.jp/event/debate.html
2 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0911/25/news104.html
映像は以下リンク
3 http://www.ustream.tv/recorded/2638211
しかし、なんであんなに狭いホールでやったのかわけがわからない。プレスもさることながら全学にメーリス流して連絡するくらいなら、あふれて入れないのが目に見えている200人強しか席がないホールでやらなくても…と思った。センター試験で出る法文1号館とかの方がよかった気がする。あ、電源が席にないからダメなのか。30分前に行ったのですがずっとNHKとか民法のカメラの横で立ち見でした。
前半の記者会見は2のページはよくまとめられていると思います。結構グダグダなまとまらないコメントも多かったので。
後半のディスカッションはプレスは減りましたが、昔の安保世代の先生たちが出てきて、「説明して、金を寄越せ、と圧力団体まがいのことをするのが嫌だったために、学者先生はあえて距離を取ってきた」方針から「適切な圧力団体を立ち上げる為に団結しましょう」的な方向に話が流れていきました*1

「大学人や学者が国民に仕事内容を説明して来なかったから、今回のような仕分けで切られる」という一般に広く持たれるであろう意見に関するコメントが、会見のなかで一部利根川先生中心に述べられていましたが、一応来年から教科書編集に携わることになった私の視点から、少し書かせていただこうかと思います。mixiで私の友人が、「結局、説明することによって利益が得られない、もしくは得ないことにしていたから説明しなかったのだ。説明して、金を寄越せ、と圧力団体まがいのことをするのが嫌だったために、学者先生はあえて距離を取ってきたわけだ。」とコメントしていました。

研究費の獲得などは研究者の説明によって利益が得られるもので、ここでの対象は一般の国・国民(つまりは言葉を換えれば納税者)に対するパフォーマンス*2、と僕自身は理解しています。「今現在成果は出ていないけれど、有効活用しています」という提言を、それを理解する納税者(お金を間接的に出してくれる人)がどれだけいるかという問題はありますが、力を入れて行ってこなかったというのが問題だったのだと思います。
しかし、もしかしたら力を入れて行ってこなかったというわけではないのかもしれません。
利根川先生も述べておられたように、研究者と国民のちょうど中間に位置できるような「まともな」仲介者(マスコミとか?)がいないために、科学者から国民への説明のトランスレーションがうまく行われていないということじゃないでしょうか?説明自体は行われているものの、その説明が研究費獲得など科学者同士レベルでの話と、国民同士レベルでの話と乖離しすぎているため、「一般に対して、説明することによって利益が得られない、もしくは得ないこと」になっているように互いの立場から見ることによって錯覚してきた?のではないかと思います。

この点に関して利根川先生は仲介者を主に非難されていたようですが、確かに仲介分野に人材がいないというのには納得です。偉そうに言えるわけではありませんが、その分野への人材育成は全く行われていないのはよくわかります。が、その指摘も僕の感覚からすると一方向的で片手落ちのような気がするのです。
「まともな」仲介者と僕は書きましたが、この会議で話をしていた方が述べていた事とは違って、専門的知識が必要条件であるのではなく、専門的な知識を的確な一般的な感覚でバランスを取りながら一般に伝えるあるいは実現のために上手な「嘘」をつく(決して騙すというわけではなく、イメージを伝える上でのことです)能力が必要なのだと個人的に思っています。事業仕分けでの毛利衛さんの受け答えとと今日の会見の先生方の差を見ていて、そういう感想を持ちました。
まだ、言いたいことがうまく言葉にまとめられないのですが、この項目に関しては、時間をおいて書き直して一定のところまで自分の意見としてまとめてゆこうと思います。また修正してゆくつもりです。

*1:厳密に書くことはできていないので、あくまでそちらの方向に話が向いて行ったという僕の感想です

*2:今日もその一環?