19入部に関して

東大オケでの生活も4年目に突入してしまい、本当に早いものだと思う。
19については僕自身はあまり関わる事ができないかもしれないから、余計にそう思うだけかもしれないけれど、どうしても演奏技術面以外のことをきちっと言葉・姿勢で伝えておきたいという気持ちをとても強く持っている。こう書くと堅苦しくって嫌かもしれないんだけど。
幸いにして、東大オケには個人分奏という上級生・下級生双方に有効な制度があって、それは主に演奏の技術を高めるためにあるわけだ。上級生にとってはどんな勉強になるか、下級生にとってどういうものかに関する話題はまたにする事にして、僕が実際に個人分奏をするにあたって一番心がけているポイントを挙げてみることにする。

  • 現在の自分を知ること。(自分の状況を相対的に把握させてあげること*1。)
  • 「絶対否定」しないこと。(実際こう書くと誤解する人が多くて困るけれど、ものもきちっと捉えようとせずにあからさまに否定するのは、その行為をしようとする個人全体を否定(拒絶に近い)していると相手に考えられても仕方ない。)
  • 将来の音をイメージしてアドバイス・修正をすること。(これもまだまだ出来ないが、進歩のベクトルが正しいと思われる方向に向っているかどうかをみればいい。個人分奏に関してはこの点がとても大切なのに…(実際は)。少なくとも1年後2年後の音をイメージできればいいと思う。)
  • 自分の感じ方を大切にすること。(「絶対否定」しないに通じるところもあるかもしれない。でもその感じ方を大切にしないでいた人が、「いい音」で弾けるようになるとは思えない。字などと同じで、楽器の音も、その人の考え方・感性・価値観そしてもろもろの欠点全てを反映するものだから。巨匠と呼ばれる人、音楽家ですごい人というのは、その反映表現が十分に出来ている人だと思う。だから技術は必要条件かもしれないが、決して十分条件ではない。)

ある簡単なフレーズが弾けなくても、決してその結果のみを見て、あれこれと否定するのではなく、「どう弾きたいと思っているか」をその失敗の中から聞き出し、その解に到達できるようにベクトルを向ける、それを判断するのが自分にとっても、相手にとっても大きな経験になるはずだと僕は考えている。
そのベクトルを判断する材料集めが本当は一番重要で、軽視しがちだと思う。材料は身の回りのありとあらゆるもので、勿論それだけでは何の役にも立たない*2。それをどうしてもある形に構成しなければならない。
それをする能力は申し訳ないけれど、ノウハウでどうにかなるものではなくて、自分が持っているもの、持とうとしているものを知る力とでも言おうか、無意識にやっているけど、意識化してやろうとすると難しくて出来ない種類のものを「意識化&分析→再構成(統合)→無意識化」する作業の経験とでも言おうか、そういった類の経験を何回もやる事で、手に入れることが出来る能力だと思う。
その能力を鍛えたり、材料集めをしたりすること、この大切さを19には本当は分かって欲しいと僕は思っている。とても抽象的で分かりにくいかもしれないけど。

*1:これができれば本当は怖いものなしなんだけど、実際僕もまだまだ出来ていない。

*2:材料を集めようともしないのは論外。