休んだ英Ⅰ

ブッチしたものの、id:nattotouch氏のblogちらうらなるままにを見ていると、なかなか今回のテーマは面白かったと見える。
ビデオは、日本の二人の写真家、土門拳木村伊兵衛の二人だったようだ。
ある意味対照的なリアリズムの追求の仕方をした二人といったところか。
木村伊兵衛は、僕は詳しく語れるほど詳しくはないが、昨年の今の時期に木村伊兵衛展が開かれていたことは記憶している。ライカ使い&早撮りで有名で、しかし構図は天性のものがある。初期の「沖縄」をテーマにしたものは、岡本太郎の沖縄の写真と比較してみるとまた面白いかもしれない。
土門拳なら、まず、原爆のあとの人々を取材した写真集「ヒロシマ*1、ザラ紙に印刷した写真集「筑豊の子供たち」とか、いろいろある。しかし、土門拳の写真でこれ一枚というものは、「古寺巡礼」の”雪の室生寺”である。

土門拳室生寺の住職に、最も美しい季節はいつかと尋ねた。住職曰く、全山が雪で輝く雪の室生寺が一番であると答えた。しかし、室生寺は山奥だが、気象条件上雪が少ない。
土門拳は雪の室生寺を撮影しようと(撮影ノートは土門のことだから激しいものとなっていたに違いない)何十回となく室生寺を訪れたが、雪の室生寺にはなかなか出会えなかった。
脳出血で倒れ、半身不随になった後も、毎年のように室生寺に通い続け、やっと約40年後、撮影に成功した。(昭和53年3月12日)
この年、土門は2月中旬から近くの病院で待機、3月10日に近くの橋本屋という宿に入り、11日には帰る予定にしていたのを、「最後に一日だけ」という望みを託し、もう一日宿泊した。その12日の朝、雪が舞い降りてきた、という。

雪の、石段の向こうに金堂を望む、あの神秘的な一枚の話である。

また、見るチャンスがあれば…。

*1:今は廃刊で手に入らないようだ。僕は、かつて見た記憶があるが、現在発売されている「生きているヒロシマ」よりも段違いに伝わるものがあったと思う。