国吉康雄展

朝御飯を食べてから、前から行きたい行きたいと思っていた、特別展国吉康雄展@岡山県立美術館(http://www.pref.okayama.jp/seikatsu/kenbi/kniyoshi-top.html)へ行った。

国吉康雄は僕の最も尊敬する画家の一人で、日本での評価がまだ不当に低いと個人的には思っている。
実際昨年の同時期に東京国立近代美術館で開かれ*1ていた、「国吉康雄展〜アメリカと日本・ふたつの世界のあいだで」にも行ったのだが、今回の展覧会はその2〜3倍の満足度だった。入場料*2がほぼ2分の1だったことを考えると、「行って大当たり」の展覧会だったと思う。
以下、国吉康雄について。

国吉 康雄 (くによし やすお、1889年9月1日 - 1953年5月14日)は、洋画家。岡山県岡山市出身。 20世紀前半にアメリカを拠点に活躍、国際的名声を博した。
(経歴)
1906年岡山県立工業学校を中退し、単身アメリカへ渡る。翌年シアトルからロサンゼルスに移り、同地の公立学校に通う。教師の助言により、ロサンゼルス・スクール・オブ・アート・アンドデザインに通い、3年間学ぶ。10年ニューヨークに移り、ナショナル・アカデミー・オブ・デザイン、インディペンデント・スクール・オブ・アーツで学んだ後、16年アート・ステューデンツ・リーグに入学、ケネス・ヘイ・ミラーに師事。在学中、ニューヨークの反アカデミズム系作家集団「ペンギン・クラブ」の会員となり、中心メンバーのジュール・パスキンと親交を結んだ。21年、ニューヨークのダニエル画廊で初個展。子供や牛を題材にした、プリミティブで幻想的な画風は、徐々にアメリカの画壇でも認められていく。

その後25年・28年と2度に渡ってヨーロッパを旅行するが、2度目の旅行を契機にして、従来の幻想的画風から写実的な表現へと大きく変化していく。この画風の変化は、パリで行動を共にすることが多かったパスキンらエコール・ド・パリの作家の影響が大きい。中でも、大恐慌後の暗い世相を背景にした、憂愁や倦怠、孤独感などを漂わせた女性像(「横たわる女」など)は、その後の彼の作品の中心的モチーフとなっていく。29年、ニューヨーク近代美術館の「19人の現存アメリカ画家」展に出品、31年にはカーネギー・インスティテュート主催の国際美術展で佳作を受賞。アメリカでの評価が高まっていく中、同年日本に一時帰国、マスコミなどの熱烈な歓迎を受ける。33年には母校のアート・ステューデンツ・リーグの教授に就任、以後没年まで20年間その職にあった。

35年に発表した「デイリー・ニューズ」あたりを境に、彼の画風は従来の社会的な要素に加え、新たに心理的な側面も色濃くなってくる。これは、帰国時に体験した日米間の文化的ギャップや、身辺に起こった数々の不幸などによって余儀なくされた、祖国喪失者としての自覚や、それに対する苦悩や葛藤の表れとされる。さらに、41年の開戦に繋がる日米関係の急激な悪化が、その陰影をより深いものとした。

日米開戦後は、友人達の尽力などによって強制収容所入りは免れたものの、敵国人としての苦境は変わらず、日本向け短波放送で反戦を訴えたり、反日ポスターの製作などを行ったりしている。戦中に製作された「誰かが私のポスターを破った」「飛び上がろうとする頭のない馬」などは、戦争の悲劇や人間存在への虚無感を強く感じさせるが、同時に微妙な立場に置かれた彼の深い苦悩と、リベラリストとしての抵抗を物語っている作品とも言える。

戦後は、当時台頭しつつあった抽象表現主義シュルレアリスムも意識した、赤を主調とした重々しい雰囲気の画風に転じる。仮面をつけた一連の人物像などは、戦後の不安感を強く暗示していると言われる。48年ホイットニー美術館で、現存作家としては初の回顧展を開催。52年には第26回ヴェネツィアビエンナーレに、アメリカ代表として出品。同年の移民帰化法の成立により、ようやくアメリカ市民権を保有する資格が生じたものの、その手続きが完了する前に、翌年胃癌のため死去。死後間もなくニューヨークで追悼展、東京で遺作展がそれぞれ開催された。

現在では、ベン・シャーンエドワード・ホッパーらとともに、20世紀前半のアメリカを代表する画家の1人として評価され、その名声は世界的なものとなっている。代表作は前記の他に、「牛のいる風景」「夏の嵐」「私は疲れた」「二つの世界の間」「祭りは終わった」「舞踊会へ」など。

2004年には「カフェ」が日本郵政公社発行の『日米交流150周年記念』切手デザインとなった。

絵だけでなく、デッサン、製作道具、新聞資料なども、一級品だった。
時間がなくて、2時間程しかいられなかったのが残念で仕方ない。
感想は、また訊いてくれたらいいです。
2000円でカタログを買ったが、これははっきり言って「お得」だった。
昼ごはんを食べてから、東京へ…。
また今度、藤田嗣治展@東京国立近代美術館(5月21日まで)にも行くつもり…。3時間以上の観覧に耐えられる人募集中。

*1:日曜美術館」でも特集放送された。

*2:大学生一人。