昨日の金曜ロードショー

id:koggusのところで紹介されていた「魔女の宅急便」だが、僕は少々変わった視点から述べさせていただきたいと思う。
突然申し訳ないが近藤喜文と云う人をご存知だろうか?「耳をすませば」の監督と言えばピンと来る人がいるかもしれない。まあそれでもピンと来ない人が大多数だと思うから、紹介しておく。ジブリに移籍する前から多くの作品で作画を手がけて移籍後も

など重要な仕事をこなし、「作画の神様」的存在なのである。しかし、もののけ姫作画監督を無事こなして、映画興行ロングランが続いている最中、47才の若さで乖離性大動脈瘤のため1998年1月21日に死去した。
アニメーションにおいて絵が上手いというのには、色々な要素があって、静止した絵が上手い、というのと動かした絵が上手いという要素が大きく分けてあると思うが、実際ジブリ内で後者に秀でていたのは宮崎氏よりも彼だったのかもしれない。(多分作画以外の脚本能力は高畑氏がピカ一。)実際の作品を見てみると、彼の死後、作画面での技術ダウンというのは目に付くし(CG化を差し引いて考えて)実際彼の持ち味であった柔らかみ(温かみ)*1に欠けてしまった絵が目立つ。今回の放映された作品も含め、彼の作画は動きで雰囲気までも出すことができていた。
僕は近藤さんの絵が好きだったので、あまり騒がれなかったけれど、亡くなった時はショックだった。

ふとふり返ると―近藤喜文画文集

ふとふり返ると―近藤喜文画文集

がおすすめ。
彼の仕事のすごさをうかがうものとして、身近なものでは「金曜ロードショーのオープニングで手回し映写機を回しているおじさんのアニメーション」が挙げられる。あれはあまり知られていないけれど近藤さんの作品で、あのように3次元を2次元的に表現して(しかも2色!)描くのはもう神業としか言いようがない。
また、機会があったら意識して観てもらいたいものである。

*1:宮崎氏はどちらかと言えば線が硬い。