帰り道に古本屋で

江戸の刑罰 (中公新書 31)

江戸の刑罰 (中公新書 31)

中公新書版で出ているのを発見。まあ、好きな人は好き?嫌いな人は嫌いかもしれない。その方面での?中では名著だと思う。
刑罰というものは、日本においては複雑なバランスを保っていて、中国古代に倣った(史記参照)ものと、日本古来?の死穢思想、祟りを恐れる思想とが拮抗、交雑している。(実際奈良時代は大陸に倣った法律制度であったから、本当にすごいというか…。一番ひどかったのは戦国時代らしいが。)
だから例えば罪人で処刑されたはずの平将門が祟り神として((○○明神)というのはほとんどの場合、「いい」死に方をしなかった故人(人に限らず狐、蛇、狸等)の祟りを鎮めるためのものである。)祭られることが起こりうるわけである。
そうなるとすこし飛躍するが、現在微妙な問題をはらむ「靖国」もこの理論からすれば説明がつくような気がするのだが…。(少なくとも文化的観点からは。他の観点からだといろいろと問題はある。)外国に説明するのは無理かな、って多分理解不能だろう。
ちょっと変な本紹介でしたが、こうした学問を現在きちんと追求してない*1からこそ、いざ問題が生じた時、一部の変なコメンテーターが訳のわからない表層的なことを叫んで、結局何も進展せずに終わってしまうお決まりパターンを脱せないのでは、と個人的に思う。

*1:ほとんどの人は忌避しているし、興味すら持たない。