本紹介

今日は金曜ロードショーで「紅の豚」をやっていたそうだ。

紅の豚 [DVD]

紅の豚 [DVD]

宮崎駿氏の長編劇場用作品であるが、これはもともと「飛行艇時代」として中篇、小編として企画されていたそうである。映画公開時に本屋で立ち読みした記憶がおぼろげながらある。
飛行艇時代―映画『紅の豚』原作

飛行艇時代―映画『紅の豚』原作

たしかに題材がマニアックといえばマニアックで、じっさいあのカーチス(Curtiss R3C-2)は僕が今手元に持っているスミソニアンの飛行機写真集の中に載っている。
それはさておき、飛行機乗りの文学者ととくればやはりサン=テグジュペリを挙げないわけにはいくまい。彼は1944年フランス沿岸部を飛行中消息を絶ち、長年その死はなぞに包まれていたわけだが、数年前に彼の乗っていたものと思われる飛行機が海中から引き上げられた。ドイツの戦闘機に撃墜されたという説が一番有力であるようだ。
一番有名なのは
星の王子さま (岩波少年文庫 (001))

星の王子さま (岩波少年文庫 (001))

で、内藤濯の名訳が光る。(原作と違うと言うむきもあるが、空気感の表現はすごい。)手塚治虫火の鳥」の望郷編にも引用されていたりする。最近はオリジナル版、フランス語版の人気が高い。
子供向けと言いながら、内容の高次性、普遍性からいつ、どこででも受け入れられうる。「かつて子供だった全ての大人たちへ」と前書きにはあったと思う*1。ちなみに飛行士ならではの客観性、そして文体の透明性が、特徴的である。中学〜高校のころ彼の作品にはお世話になりました。
大学生にならついでに後2冊。
夜間飛行 (新潮文庫)

夜間飛行 (新潮文庫)

人間の土地 (新潮文庫)

人間の土地 (新潮文庫)

辺りを読んでおくといいかも。

*1:さらに正確にはテグジュペリの友人であるレオン・ウォルトに捧ぐと書かれていたはず。レオン・ウォルトは星の王子様の冒頭部に書かれた通り、「ぞうをのんだうわばみ」を解する数少ない大人だったそう。